同じ酒の味はいつも同じ?

 お酒の味が以前と違う感じがするとか、こんな味じゃなかったのに。とのお問い合わせを、たまに頂きます。そう感じた方は間違っていません。ワインと同じで、その年のお米の品質でお酒の味が変わってきます。
 米だけでは有りません。麹菌、酒母、酵母、気温等々色々なものに影響されてお酒が醸されます。杜氏(酒を作る人)は色々な条件に左右されないよう、技術と知識を持って酵母や乳酸菌、麹菌などなどと戦い毎年目標としてるお酒の味に近づける努力をしています。
 また、より旨い酒を目指し、醸造段階で新しい技術を導入していますので、いつも同じ味でお客様のもとへ届けられることは無いと思ってください。
 蔵元により、2・3年前のお酒や違うタンクのお酒をブレンドして、蔵の味を保つところもありますし、近年BY(製造年)表示をして毎年醸したお酒は売り切るような蔵元もあります。

同じ年の同じ銘柄の酒の味はどれも同じ?

同じではありません。
 1種類のお酒を複数本のタンクで時差を持って醸す場合もあります。その場合、タンクにより味が違うことは普通にあります。蔵元により、タンク番号を記載しているところもあります。ブレンドして出荷するところもあります。
 また、同じタンクのお酒でも、出来たてを飲むのと秋頃に飲むものでは味が違うと思います。2年3年寝かせても味が変わってきます。味が変わることを嫌う蔵元は、低温で貯蔵してるところもあります。

 そして、搾り工程でも味が変わってきます。「あらばしり(雫)」「中汲み(中取り)」「責め」という言葉を聞いたことがありますか?槽(ふね)で搾る場合は、最初に酒袋に醪を入れます。槽(ふね)の上にぶら下げると雫のようにお酒がしたたり落ちてくるのが、「あらばしり(雫)」です。一定時間が経過すると、酒袋を槽(ふね)の中に落としていきます。どんどん重なると、その重さでお酒が搾られてきます。これが「中汲み(中取り)」となります。最後に、上に重石を置いてグイグイと搾るのが「責め」と言われるお酒になります。通常すべてのものをタンクに入れますが、お酒の種類やグレードにより、別けて販売することもあります。「萬年雪荒走り」、今は無き「歓びの泉中汲み」などは、代表的なお酒ですね。機会があれば、同じお酒の「あらばしり(雫)」「中汲み(中取り)」「責め」の飲み比べをしてはいかがですか。

「端桶」と言う言葉をご存知ですか?タンク内のお酒の品質を保つため、タンクには満量で保存しているのですが、稀に何らかの理由で満量でない状態で保存している状況のことを言います。こういった場合、酸化したような古酒のような味がすることがあります。