日本酒(清酒)の種類(特定名称)

特定名称使用原料精米歩合こうじ米
使用割合
香味等の要件
純米大吟醸酒米、米こうじ50%以下15%以上吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好
大吟醸酒米、米こうじ50%以下15%以上吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好
純米吟醸酒米、米こうじ60%以下15%以上吟醸造り、固有の香味、色沢が良好
吟醸酒米、米こうじ、醸造アルコール60%以下15%以上吟醸造り、固有の香味、色沢が良好
特別純米酒米、米こうじ60%以下15%以上香味、色沢が特に良好
純米酒米、米こうじ--15%以上香味、色沢が良好
特別本醸造酒米、米こうじ、醸造アルコール60%以下15%以上香味、色沢が特に良好
本醸造酒米、米こうじ、醸造アルコール70%以下15%以上香味、色沢が良好

※平成15年から純米酒の精米歩合の規定が無くなったり、こうじ米の使用要件が追加されたり、多少変更があったようです。

  • 精米歩合
    玄米を100%とすると、食用米が92%程度です。精米歩合35%のお酒は、大吟醸酒または、純米大吟醸となります。精米歩合は、残ったお米の玄米に対する割合を表示しています。
  • こうじ米使用割合
    製造に使用する米こうじ(こうじ米)と白米(掛け米)の使用割合で、白米の重量に対するこうじ米の重量の割合です。(こうじ米使用割合は上記の特定名称酒に限り適用されます。)表示例として【麹米(山田錦)20%、掛け米(五百万石)80%】と言う表示見たことありませんか!

特定名称以外の日本酒(清酒)の種類

上記の特定名称酒は酒税法で規定されたものです。特定名称酒以外のお酒は醸造方法や醸造過程などで名称が決められています。また、特定名称酒や種類を組み合わせて名称として使われています。例として、「純米生原酒」「純米古酒」「純米生もと無濾過生原酒」等々です。一部をご紹介させていただきます。

  • 原酒
    一般の市販酒は搾った日本酒に水を加えてアルコール分を調整してありますが、この酒は水を加えてアルコール分の調整をしていないのでアルコール分は高く、18 ~20 度もあり、風味は濃醇です。また、アルコール発酵を早めに止めて、アルコール度数の低いの原酒などもあります。
  • 生酒
    火入れ(加熱殺菌)をしていないお酒です。生まれたままの日本酒です。酒蔵でしか味わえなかったフレッシュな美味しさを、そのまま詰めました。純米生、吟醸生などいろいろなタイプの生酒があります。
  • 生貯蔵酒
    搾り立ての日本酒をそのまま低温で貯蔵(生のまま貯蔵)し、出荷時に一度だけ加熱(火入れ)しています。生の風味がそのまま残っていて、いつでもフレッシュでおいしいお酒です。
  • 生詰
    通常瓶詰め時に火入れ殺菌して、計量瓶詰を行いますが、フレッシュさを保つため、生酒のように生のまま瓶に詰め替えます。また、火入れ貯蔵した酒をそのままの状態で市場に出すために、加熱殺菌(火入れ)せず、ビン詰め 出荷した日本酒です。
  • 生一本
    100%自分の蔵(工場)で造った自醸酒で純米酒です。なぜこんな表現があるのか不思議ですね…。(笑)
  • 貴醸酒
    仕込み水の全部あるいは一部に清酒を用いて醸造した濃厚で芳醇な酒です。発酵後、貯蔵により熟成に関係する成分も醸し出されます。酒の色は琥珀(こはく)色です。通常三段仕込み(初・中・留)の普通の日本酒の仕込み工程では、留(添)仕込みの時に水のかわりに日本酒を使用するところが多いようです。
  • にごり酒
    醪を目の粗い布でこしただけの白く濁っている白濁酒。出荷のとき加熱、殺菌していないものを「活性清酒」とか「生のにごり酒 」ともいい、酵母や酵素が生きたままです。日本酒の定義に、もろみを濾したものとあるように、濾さないと日本酒にはならないためいろいろな目の大きさのもので濾して特徴を出してるようです。
  • おり酒
    にごり酒に似ていますが、製法がちょっと違います。醪を目の細かい布で、ていねいにこしても、どうしても微細な麹と酵母などが混ざり、タンクの底に沈殿します。これを集めて、白く濁ったままにしておいたのがおり酒です。最近では、おり酒・にごり酒の差はなくなってきています。
  • 活性清酒
    もろみとなった段階で蒸米や米麹の粒を細かく砕いて、目の粗い布で漉して造ったお酒。酵母や酵素が生きています。炭酸ガスが含まれていますので、爽快感があり、甘酸っぱいさわやかな味わいを楽しめます。生にごり酒のことです。瓶のふたに穴が開いてるものを見たことがありませんか?そのまま、耐圧瓶に詰めると、発酵時に出る二酸化炭素がお酒に溶け込み、開封時に噴出するシャンパンのようなお酒が出来ます。
  • 古酒
    ワインでは100 年以上寝かせたものや、ウィスキーなどでは年代物がまろやかでこくがあります。これに対し、普通の日本酒は1年程度で熟成します。しかし、日本酒の中でも純米酒のようなタイプの酒は、長期間貯蔵(熟成)することでかえって味がまろやかになります。2 年、 3 年、あるいは5 年以上貯蔵された古酒がみられるようになりました。現在では、10年もの20年ものの古酒も流通しています。
  • ひやおろし
    店主の嫌いなひやおろしです(笑)。なぜ嫌いかと言うと、定義が決まっていません。全国で、蔵元単位でまちまちです。唯一言われているのが、厳寒期に仕込まれ出来た日本酒は、1年間掛けて販売しますが、秋ごろになると、新酒が熟成されおいしくなります。そのお酒をひやおろしと言うそうですが、特定名称や瓶詰め方法・加水か原酒か・仕込み時期・熟成期間等々決まっていません。本醸造の加水・火入れのひやおろしを8月に売ってたり、純米原酒の生酒が10月に発売されたり・・・。説明に困るお酒です。
  • 炭素濾過
    そもそも、日本酒の定義に、【・・・発酵させて濾したもの】とあり、定義上での濾す行為は、濾す前のお酒(醪)を液体(酒)と固体(粕)に分けることを言い、上槽(搾り工程)と言われており、ここで言う濾過とは違います。上槽(搾り工程)されたお酒は、まだわずかに濁っており、このお酒に粉末の炭素を混ぜて、濾過器で炭素を取り除くと、澄みきった綺麗なお酒が出来上がります。炭素濾過の工程で、炭素の量や時間の調整で水のような味も香りも無いお酒や、味・香りの残ったお酒を作ることが出来ます。炭素濾過により旨味や香りが無くなることから、下段の無濾過や無炭素濾過(炭素を利用しない濾過)のお酒が見直されてる状況も多々見受けられます。
  • 無濾過
    しぼりたてのお酒の瓶の底に、かすかに澱が溜まってるのを見たことがありますか?綺麗な上澄み部分も良く見ると、わずかに細かい粒子が浮遊しています。清酒は文字通り透き通った酒なのですが、透き通ったお酒をつくるために、活性炭の粉末(業界では炭といわれています)を入れます。活性炭は、色々な物を吸着して綺麗で透明な(澄んだ)お酒をつくる事が出ます。ただ、そのときに味(旨み)や香りも吸着してしまいます。味(旨み)のある、黄金色のお酒をつくるため、この工程を省いてつくることも最近増えています。
    ※最近、無濾過の定義が曖昧になりつつあり、澱などが沈殿してるものを消費者が嫌うと言う理由で、軽く?ろ過器を通して、無濾過として販売されてるお酒もあります。そもそも、無濾過のお酒で澱が沈殿しないのは不思議です。(令和元年)

 

 

日本酒(清酒)の甘辛

■日本酒度
日本酒度とは日本酒の甘辛を数字で表したもので、具体的には日本酒の比重を表す数字です。ボーメ比重計で計ります。水の比重より大きいものに(-)を付けマイナス○○度と言い、軽いものに(+)を付けプラス○○度と呼びます。

■日本酒度とアルコール分
日本酒度はアルコール度に影響を受けます。アルコールは水より比重が軽いからアルコール度が高いと比重が軽くなり日本酒度は(+)なります。

■日本酒度とエキス分
ほとんどの日本酒はアルコール分が15.5度前後で一定してますから、大体のものの日本酒度はエキス分に比例します。エキス分が多いと(-)少ないと(+)になります。また、日本酒のエキス分の大部分は糖分ですから、日本酒度の(-)の数字が大きいほどエキス分が多く糖分の多い酒で甘口の酒となります。辛口の酒はその反対と考えてください。

■酸の含有量によっても甘辛が違ってくる
(日本酒度が同じ)=(アルコール度と糖分が同じ酒)でも、酸度が高いと、甘みが抑えられ辛く感じます。反対に酸度が少ないと、甘みが抑えられずに甘く感じます。同じ日本酒度でも、甘辛の感じ方が違ってきますので、ご注意下さい。

■温度でも甘辛が違ってくる
オレンジジュース。よく冷えたものと、温いもの。温いものが甘ったるく感じる事は経験したことがあるかと思いますが、人間の味覚を感じる神経が甘いより、冷たいを優先して感じる事からだそうです。痒いとき冷やせば痒さが和らぐのと同じことのようです。

 

※まったく、私は理解できませんが、日本酒度と酸度から約81%の甘辛が説明できる数式が有るらしいです。

甘辛の計算式

結果は日本酒度と反対で(-)は辛く(+)は甘くなるようです
興味のある方は計算してみてください。